日本口腔ケア学会薬剤師部会長 山浦 克典
我が国の歯周病患者は年々増加する一方、定期的な歯科検診の受診割合は低く、国民の約半数は未受診の状態です。近年、歯周病と様々な全身疾患との明らかな相関が報告されており、口腔ケアを通じて全身疾患を予防することの重要性が認識され始めています。我々薬剤師においては、かかりつけ薬剤師制度や健康サポート薬局制度などを通じて、国民の疾病予防と健康維持増進を積極的にサポートすることが期待されており、これからは、口腔ケア領域においても職能を発揮する必要があると考えます。
薬剤師部会は、日本口腔ケア学会の趣旨に基づき、薬剤師として口腔ケアを通じて国民の全身疾患の1次予防に貢献します。また、口腔疾患治療薬の効果的な使用と医薬品が引き起こす口腔関連副作用の予防・軽減に貢献します。入院・在宅医療においては、多職種とも連携して、口腔ケアによる誤嚥性肺炎の予防を推進します。これらに必要な知識・スキル習得のため、日本口腔ケア学会所属の歯科医師監修のもと、薬剤師の口腔ケアの実践力を養う教育・研修プログラムを提供し、さらに認定制度を設け実践力のある薬剤師を認定します。
薬剤師部会は、保険薬局・ドラッグストアに勤務する薬剤師、病院薬剤師および薬系大学の教員等で構成され、薬剤師が歯科医師との連携のもと、地域住民、入院患者に対し口腔ケア領域においても職能を発揮する社会の実現を目指しています。是非、日本口腔ケア学会に入会し、口腔ケアについて共に学び、実践力を高め、研究成果を公表・情報共有し、薬剤師の立場から口腔ケアを通じて国民の健康寿命の延伸に貢献しましょう。